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笠原 茂樹; 橘内 裕寿*; 知見 康弘; 茶谷 一宏*; 越石 正人*; 西山 裕孝
Journal of Nuclear Materials, 480, p.386 - 392, 2016/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Materials Science, Multidisciplinary)BWR炉内構造物用オーステナイト系ステンレス鋼の中性子照射温度は、炉の起動時に室温近傍から約290Cに遷移するのに対し、近年のJMTRを用いたBWR模擬照射では、150C程度まで昇温した後に照射を開始する制御方法が採用されている。このような温度履歴の違いがステンレス鋼のミクロ組織変化と機械的特性に及ぼす影響を検討するため、BWR起動時の温度履歴を模擬したJMTR照射材と昇温後に照射を開始した材料に対して、290Cでの引張試験、室温でのビッカース硬さ試験、及びFEG-TEMを用いたミクロ組織観察を行った。その結果、温度履歴の相違は格子間原子クラスターの形成に影響し、特にBWR温度履歴模擬材のフランクループ径は昇温後に照射した場合に比べて大きいことが判った。また温度履歴の相違の影響は、0.2%耐力と硬さの上昇よりもひずみ硬化能と延性低下において明確に観察された。以上の結果から、原子炉起動時の温度履歴の相違は損傷量1 dpa以上のステンレス鋼においても認められ、特にフランクループとマクロな変形挙動の関係を考慮する必要性が示唆された。
柴田 大受; 角田 淳弥; 馬場 信一; 山地 雅俊*; 石原 正博; 伊与久 達夫; 辻 延昌*
Key Engineering Materials, 297-300, p.728 - 733, 2005/11
熱・機械的特性に優れるセラミックス材料は、高温ガス炉の炉内構造物への適用が期待されている。結晶粒径を微細化した3モル%イットリア含有正方晶ジルコニア多結晶体(3Y-TZP)セラミックスは、高温での超塑性現象を利用した圧延加工が可能であり有望な材料であるが、強度に関するデータは炉内構造物へ適用するために必要な設計基準を作るうえでは十分でない。本研究では、3Y-TZPセラミックスについて、室温で引張り,曲げ,圧縮試験を実施し、得られた強度データに基づき設計基準の概念検討を行った。その結果、平均の引張り強度は曲げ強度よりかなり小さく、応力条件下での正方晶から単斜晶への相変体機構を考慮することが重要であることを示した。また、得られた強度データをWeibull理論により確率論的に検討し、ジルコニア製構造物に対する設計基準の概念を提案した。
鈴木 裕士; Holden, T. M.*; 盛合 敦; 皆川 宣明*; 森井 幸生
材料, 54(7), p.685 - 691, 2005/07
本研究では、高張力鋼の一つであるNi-Cr鋼を用いて製作したX開先突合せ溶接試験片の残留応力分布を中性子回折法により測定し、残留応力発生メカニズムを検討した。始めに、無ひずみ状態における格子定数を測定するために、溶接試験片から幾つかの小片試料を切り出した。小片試料を用いて格子定数を測定した結果、溶接過程において生じたマルテンサイト変態などの相変態が影響して、溶接部近傍で格子定数の増加が認められた。次に、Fe110, Fe200, Fe211の三種類の回折により溶接試験片の残留応力分布を測定した。塑性ひずみの影響が無いために、それぞれの回折により評価した残留応力分布はほとんど同様な傾向を示していた。また、溶接部近傍における残留応力はNi-Cr鋼の降伏強さの半分程度の引張残留応力であった。高張力鋼では軟鋼と比べて相変態による膨張量が大きいこと、また、引張残留応力がかなり低い温度となってから発生し始めるために、残留応力が降伏応力に至らなかったと考えられる。したがって、高張力鋼の中性子応力評価では、塑性ひずみの発生を考慮する必要の無いことを確認した。
Davies, A. R.*; Field, J. E.*; 高橋 幸司; 羽田 一彦
Diamond and Related Materials, 14(1), p.6 - 10, 2005/01
被引用回数:21 パーセンタイル:61.84(Materials Science, Multidisciplinary)化学気相成長(CVD)法で合成する人工ダイヤモンドは、近年、特に電子デバイス分野への応用が期待されている。核融合分野では高周波加熱装置の真空窓材として使用する。その真空窓は、真空容器と同じ境界をなすことから、安全性及び構造健全性を示す必要がある。そのためのデータを得るべく3点曲げによる強度試験及び疲労試験を行った。その結果、基盤側及び成長側の強度は、それぞれ69090MPa及び28030MPaであることが判明した。また、疲労強度は、破壊強度の89%で10回の繰り返し荷重を加えても破壊することは無く、健全性を示した。
鈴木 隆之*; 宇佐美 三郎*; 木村 孝江*; 小泉 興一; 中平 昌隆; 高橋 弘行*
Proceedings of 55th Annual Assembly of International Institute of Welding (IIW2002), 16 Pages, 2002/06
二重壁構造の核融合装置真空容器の外壁とリブ間を溶接するために新しい溶接継手を開発した。本継手は、外壁の外側より電子ビーム溶接を行う板厚貫通電子ビーム溶接(TW-EBW; Through-Wall Electron Beam Welding)で製造される。単軸負荷下の1本ビード試験片と曲げ負荷下の2本ビード試験片において静的及び疲労試験を行い、実験結果は有限要素法により解析的に検討した。本継手は不溶着部を有するけれども、溶着部の応力が3軸引張状態となる塑性拘束効果により継手の降伏応力が上昇する。この3軸引張状態が平均塑性相当応力を低下させ、継手母材断面あたりの強度を完全溶接継手の強度に近づける。本継手の低サイクル破断寿命における疲労強度減少係数は4より幾分大きい。また、継手部き裂の最大主応力拡大係数とASME Code XIで与えられている疲労き裂進展抵抗値より計算した継手部の疲労き裂進展速度は、実験結果を保守側に評価する。
石原 正博; 高橋 常夫*
材料, 51(4), p.425 - 430, 2002/04
本論文においては、気孔とき裂の相互作用を考慮した脆性破壊モデルを提案している。提案モデルは、黒鉛材料の引張強度を予測することが可能で、気孔を初期き裂として仮定して、き裂を破壊力学と確率論的に扱っている。強度試験データと提案モデルを用いた予測値との比較検討により、提案モデルは平均引張強度のみならず強度分布もかなりよく一致し、提案モデルの妥当性を確認した。さらに、解析的検討により、気孔サイズが大きく気孔率の高い黒鉛ほど気孔とき裂の相互作用効果が大きいことを明らかとした。また、提案モデルを用いた強度の粒径依存性の予測値は、いろいろなセラミックスで得られている挙動とほぼ同じ挙動を示した。
石原 正博; 小嶋 崇夫; 星屋 泰二
Proceedings of International Conference on Carbon in 2002 (Carbon2002) (CD-ROM), 6 Pages, 2002/00
2次元織りの炭素繊維強化炭素マトリックス複合材料(C/Cコンポジット)について、曲げ破壊特性を実験及び解析的に検討した。実験では、C/Cコンポジットの基本的な破壊様式を明らかとするために、曲げ試験及び試験後の破面観察を行った。破面観察の結果、引張り破壊様式,圧縮破壊様式及びせん断破壊様式の3種類の基本的な破壊様式が認められた。そこで、これら基本的な破壊様式が競合して強度が発現されるとした競合リスク理論を用いて曲げ破壊の解析的検討を行った。競合リスク理論に用いるパラメータは別途実施した実験により定め、曲げ強度の予測を試みた。その結果、曲げ強度が競合リスク理論により良く予測できることが明らかとなり、本理論により、より一般的な応力勾配下の強度予測が可能であることがわかった。さらに、本理論と有限要素法とを組み合わせることにより、任意形状をした構造体の強度予測を可能とする予測モデルの提案を行った。
若井 栄一; 菱沼 章道; 宇佐美 浩二; 加藤 康*; 高木 清一*; 安彦 兼次*
Materials Transactions, JIM, 41(9), p.1180 - 1183, 2000/09
中性子照射した高純度と低純度のFe-9Cr合金の微細組織と引張及び衝撃特性が調べられた。照射はJRR-3M(Modified Japan Research Reactor-3)炉にて、255または290で0.3dpaまで行った。照射による降伏応力の増分は高純度と低純度材料でそれぞれ225MPaと170MPaとなり、それは高純度材料の方が大きくなった。また、それらの延性の低下は高純度材で著しい低下が見られた。衝撃特性に関しては、高純度材料は低純度材料に比べて、延性脆性遷移温度の上昇が大きく、175であった。透過型電子顕微鏡観察ではこれらのFe-9Cr合金に転位ループが形成していて、その数密度は低純度材料の方がやや高かった。また、高純度材料では、ループ上に'相に類似した析出物が観察された。降伏応力の増加に対する転位ループの障壁力を分散型障壁物のモデルで評価すると、その強度因子は高純度材の方がやや大きいことがわかったが、これは転位ループ上に形成した析出物が起因していると考えられる。以上のような照射による機械的特性の変化は、転位ループの硬化だけでは説明できず、ループ上の析出物の形成がそれらに大きな影響を及ぼしていると考えられる。
Nyilas, A.*; Obst, B.*; 中嶋 秀夫
Proceedings of 3rd International Conference on High Nitrogen Steels (HNS-93), p.339 - 344, 1993/00
原研が鉄鉱メーカと共同で開発した窒素強化型のステンレス鋼(Fe-25Cr-15Ni-0.35N,CSUS-JN1)の極低温における引張特性、破壊靱性及び疲労き裂進展特性についての測定結果について報告している。測定結果より、この新しく開発された材料は、極低温で1,300MPaの耐力を有し、217MPa√mの破壊靱性を有する非常に優れた材料であることが実証された。また。疲労き裂の進展特性も既存の316LN鋼よりも優れていることがわかった。
泉 佳伸*; 西井 正信; 瀬口 忠男; 江間 喜美子*; 山本 忠史*
Radiation Physics and Chemistry, 37(2), p.213 - 216, 1991/00
高延伸した超高分子量ポリエチレンと高密度ポリエチレンの放射線酸化による照射効果を分解ガス生成、酸素の消費量、力学特性の変化を測定して、調べた。高延伸したPEの酸化は著しく大きくなり、また、メタン、エタンの発生量も増大した。これは、延伸により、非晶域が結晶に近い構造になって、その表面(界面)で酸化が促進されるためと考えられる。
石山 新太郎; 衛藤 基邦; 奥 達雄
日本原子力学会誌, 29(7), p.651 - 655, 1987/07
被引用回数:7 パーセンタイル:60.01(Nuclear Science & Technology)高温ガス炉用微粒等方性黒鉛IG-110の引張り-引張り型疲労強度に及ぼす空気酸化の影響を室温で調べた。負荷荷重繰り返し速度を0.5~10Hzとし、酸化は空気中500Cで行った。酸化量は重量減3.5%及び7%とした。酸化に伴う疲労強度の低下は引張り強度の低下と同傾向にあり、次式によって表わせた。log〔(/)(/)〕=-0.00831-0.00988logNf ここで、,,,及びNfは各々、負荷応力、非酸化材の平均引張り強度、酸化前かさ密度、酸化後かさ密度及び疲労寿命である。また、非酸化材に対する疲労曲線と酸化後引張り強度のデータから推定した非破壊確率99%/信頼限界95%の酸化材の疲労強度は酸化材に対する実験データに基づく値よりも安全側の評価を与えた。
上塚 寛; 川崎 了
JAERI-M 83-068, 18 Pages, 1983/04
軽水炉LOCA時におけるジルカロイの脆化挙動に対する中性子照射効果を明らかにするために、JMTRで約1.510n/cm(E1MeV)まで中性子照射したジルカロイ-4を室温~950Cの温度範囲で引張り試験した。室温~700Cの各試験温度における照射材の引張り強さは非照射材の引張り強さより10~20%大きい値であったが、800~950Cの温度範囲においては、両材の間に強度の差は認められなかった。500C以上の試験温度で、照射材は非照射材より大きな破断伸びを示した。また、800~900Cの各温度で、照射材と非照射材は共に約80%以上の大きな伸びを示した。この著しい伸びはジルカロイの超塑性現象と関連したものである。本実験の結果は軽水炉LOCA時におけるジルカロイ被覆管の脆化挙動におよぼす中性子照射効果は無視できることを示している。
瀬口 忠男; 荒川 和夫; 伊藤 政幸; 早川 直宏; 町 末男
Radiation Physics and Chemistry, 21(6), p.495 - 501, 1983/00
高分子材料の放射線化劣化を引張り試験による機械的特性の変化から検討した。ポリエチレン(PE)とエチレン-プロピレンゴム(EPR)を真空中および酸素加圧下で照射し、伸び、強度、モジュラスを測定した。酸素加圧下で照射すると、これらの物性値は著しく低下した。しかし真空中では伸びは比較的低下するが強度の低下は小さく、酸素中とは異なっている。空気中照射では線量率を上げると真空中照射に近づき、下げると酸素中照射に近づくことが明らかになり、酸素中照射は空気中低線量率照射の劣化促進法として妥当であることが判明した。
磯崎 敏邦; 大場 敏弘; 植田 脩三
日本機械学会論文集,A, 42(359), p.2034 - 2041, 1976/00
オーステナイト系ステンレス鋼SUS304は高速増殖炉1次冷却系構造材料として使用される。高速増殖炉の核暴走事故時には構造物は衝撃荷重を受けることが予想され、このような衝撃荷重に対する原子炉構造物の健全性を評価するためには構造材料の機械的性質に与えるひずみ速度の効果を明らかにしておく必要がある。本報では以上の目的のもとに、オーステナイト系ステンレス鋼SUS304を供試材として火薬爆発力を直接利用した高温衝撃引張試験を実施した。実験温度は室温、400C、600Cの3段階とし火薬薬量をパラメーターとして引張過程中のひずみ速度を変化させた。その結果各実験温度において引張強さ、伸びおよび変形エネルギーなどの機械的性質に与えるひずみ速度の効果が明らかになった。